肥満外来とは
当院では、肥満に関する不安を抱える患者様のために、肥満外来を開設しております。
肥満外来では、患者様ひとりひとりに適したプログラムをご提案し、肥満解消のための正しいダイエットをサポートします。
根本的な生活習慣や体質の改善が望めますので、リバウンドしにくく、健康的に痩せることが可能です。
肥満気味で糖尿病などの生活習慣病が心配な方、健康診断などでメタボリックシンドローム症候群だと診断された方など、肥満に関して心配事がある方はどうぞお気軽に当院までご相談ください。
肥満外来が保険適用できる条件
肥満外来では、「高度肥満」と呼ばれる、BMI(Body Mass Index:体格指数)が35以上である場合、健康保険による受診が可能です。また、高度肥満でなくとも、肥満に伴っていびきや睡眠時無呼吸症候群、膝や腰の痛みなどが起こっている場合や、健康診断などで肥満に加えて脂質異常症(高脂血症)・糖尿病・高血圧といった生活習慣病が発見されているなど、肥満による健康障害が生じているケースでは、健康保険が適用されます。
それ以外の、特に医学的には問題のないケースでは原則保険の適用外となります。詳細は別途お問い合わせください。
BMIによる肥満度判定
BMI | 肥満度 |
---|---|
18.5未満 | 痩せ(低体重) |
18.5以上25未満 | 普通体重 |
25以上30未満 | 肥満1度 |
30以上35未満 | 肥満2度 |
35以上40未満 | 肥満3度 |
40以上 | 肥満4度 |
肥満外来をおすすめする方
- 腹囲が男性の場合は85cm以上、女性の場合は90cm以上ある
- BMIの数値が25以上である
- お腹は出ているが、少ししかつまめる皮下脂肪がない
- 急な体重の増加があった
- 生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症、痛風、脂肪肝など)があると言われた
- 空腹ではないのに食べてしまうことがよくある
- むくみが気になる、トイレの回数が少ない(7回未満)
- 慢性的な腹部膨満感や便秘がみられる
- 激しいいびきがある、もしくは睡眠時無呼吸症候群が疑われる
といった場合には、肥満外来の受診をおすすめします。
肥満外来の流れ
1問診・カウンセリング
なぜ太ってしまったかを特定するため、患者様がどのような生活習慣や食生活を送っているかについてお聞きします。そのうえで、患者様それぞれにもっとも適した食事療法と運動療法、生活改善のプランを見極めます。
2検査
患者様それぞれにもっとも適したダイエットのプランをたてるため、血液や内臓脂肪の検査を行い、肥満の原因をさらに探ります。
3ダイエットプランのご提案・実行
問診やカウンセリングと検査の結果をもとに、医師が分析を行い、患者様にできるだけ負担の少ないダイエットプランを提案させていただきます。
食事日記をつける、毎日体重を測定するといった認知行動療法のほか、脂肪の吸収を抑制したり、食欲を抑えたりする効果のある薬をもちいた薬物療法を実施することもできます。
肥満の解消のため、必要な場合はそれらの薬剤の力を借りながら、食事療法や運動療法を継続していきます。
4アフターケア
患者様と一緒にダイエットの効果がどの程度出ているかを確かめます。また、ダイエットを進めていく中で出てきた悩みや不安についても話し合い、アドバイスいたします。
肥満外来で行う治療
肥満外来の治療における大きな目的は、生活習慣病の改善と、そのための減量です。
肥満外来では、まず患者様の体の状態や、生活習慣病の種類をきちんと調べます。それらの状態に合わせて、最適なプランでの食事療法・運動療法を実施します。また、必要な場合は薬物療法を取り入れることもあります。目標体重に合わせて食餌療法や運動療法の方法に調整を加えながら、減量を目指します。
食事療法
食事療法では、これまでどういった食事をとってきたかをお伺いし、それを改善していきます。
当院では管理栄養士が常駐しておりますので、具体的に、いつ、何を、どれくらい食べたらいいのかというような、食事の量や回数・タイミングのほか、どんな栄養素を摂るべきかを指導します。また、飲酒の量や頻度、控えた方が良いものについての指導も行います。
なお、ダイエット中は可能な限り禁煙するようにしましょう。
運動療法
運動療法では、患者様の体の状態や年齢に合わせて、適切な運動を行います。
ダイエットでは、特に有酸素運動(ウォーキングや軽いジョギング、水泳など)でよく効果がみられます。必要な場合は負荷の軽い筋力トレーニングを行うこともあります。
整形外科的な疾患や障害、心臓の病気があり運動が難しい患者様にも、負荷のかかりすぎない運動療法をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
薬物療法
薬物療法は、食事療法と運動療法で効果が十分得られない場合に実施します。糖尿病、脂質異常症、高血圧症などの生活習慣病の種類に合わせて、薬を処方します。
GLP-1(受容体作動薬)
GLP-1とは、食後に血糖値が上昇するのを抑制するホルモンで、GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病の治療にも用います。
注射または内服で投与するもので、主な効果としては
- インスリンの分泌を促し、血糖値を下げる
- 胃の蠕動運動を抑え、食後の血糖値上昇を抑制する
- 視床下部に働きかけ、食欲を抑える
といったものが期待できます。
SGLT2阻害薬
SGLT2は、ブドウ糖の取り込みに関するタンパク質で、SGLT2阻害薬は1型・2型糖尿病の治療、慢性心不全、慢性腎不全の治療に用いる薬です。
内服によって投与を行い、
- 糖を吸収せず尿中に排出し、血糖値を下げる
- 心臓や腎臓を保護する
といった効果が期待できます。
当院では、高度肥満と呼ばれる健康保険適用となる肥満治療を積極的に行っています。医学的に根拠に基づく健康的な肥満解消を目指される方はぜひご相談ください。