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汗をかかない冬こそ痛風に注意?尿酸値を下げるための「正しい水の飲み方」

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「冬になると、あまり汗をかかないから水分補給はそんなに気にしなくてもいいかな?」と、つい思っていませんか?しかし、実は寒い冬こそ痛風の危険が高まる季節であることをご存じでしょうか。

乾燥した空気や血行不良、さらには年末年始のイベントでの飲食の乱れなど、冬には尿酸値が上がりやすいメカニズムが潜んでいます。尿酸値が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」と診断され、放置すれば激しい痛みを伴う痛風発作や、糖尿病、高血圧などの合併症のリスクが高まります。この記事では、冬に尿酸値が上がりやすい意外な理由と、つらい痛風発作を防ぐための「正しい水の飲み方」を詳しく解説します。

汗をかかない冬こそ痛風に注意?尿酸値を下げるための「正しい水の飲み方」

「冬になると、あまり汗をかかないから水分補給はそんなに気にしなくてもいいかな?」と、つい思ってしまうことはありませんか。しかし、実は寒い冬こそ痛風(つうふう)の危険が高まる季節です。寒さで水分補給がおろそかになりがちですが、正しい水の飲み方は、尿酸(にょうさん)の値を適切に保ち、つらい痛風発作を防ぐためにとても大切です。この季節だからこそ知っていただきたい、尿酸値と水分補給の深い関係について、詳しくお話しします。

冬に尿酸値が上がりやすい3つのメカニズム

冬は「あまり汗をかかないから、水分補給は大丈夫」と思っていませんか。
実は、寒い冬こそ痛風になる危険が高まる季節です。
私たちの体内で何が起きているのか、その仕組みを一緒に見ていきましょう。

  • 体の中の水分が減りやすいから

    • 冬は空気がカラカラに乾燥しています
    • 息をしたり、皮膚から気づかないうちに水分が逃げています
    • 汗をかかないため、喉の渇きも感じにくいものです
    • 水分が減ると、血液の中の尿酸が濃くなってしまいます
    • 尿酸が濃くなると、尿酸値が上がりやすくなるのです
  • 血の巡り(血行)が悪くなりやすいから

    • 寒さで体が冷えると、血管がキュッと縮まります
    • 血管が縮むと、血液がスムーズに流れにくくなります
    • 特に手足の先など、体の隅々まで血が届きにくくなることがあります
    • 血の巡りが悪いと、尿酸が体の外に出にくくなってしまいます
    • さらに、体温が低いと尿酸が固まって結晶になりやすいことも知られています
  • 食べるものや生活リズムが乱れやすいから

    • 冬はクリスマスやお正月など、楽しいイベントがたくさんあります
    • つい美味しいものを食べすぎたり、お酒を飲む機会が増えたりしませんか
    • お肉や魚介類、アルコール飲料には「プリン体」という成分が多く含まれます
    • プリン体は体の中で尿酸に変わるため、摂りすぎると尿酸値が急に上がってしまうことがあります

水分補給が尿酸値のコントロールに重要なワケ

「水を飲む」というシンプルな行動が、なぜ痛風の予防にそんなに大切なのでしょうか。
水分補給が、私たちの体、特に尿酸の管理にどう役立つのかを解説します。

  • 尿酸を体外へ洗い流す「おしっこ」の力

    • 水をたくさん飲むと、おしっこの量が増えます
    • おしっこは、体の中の不要なものを外に出す大切な働きをしています
    • 尿酸もその一つで、おしっこと一緒に体の外へ排出されます
    • 尿が薄まると、尿酸も薄まり、体の中にたまりにくくなるのです
    • これは、尿酸値を下げるための基本的な方法の一つと言えます
  • 尿酸の「結晶」が作られるのを防ぐ

    • 体の中に尿酸が多いと、尿酸が小さな結晶になってしまいます
    • この結晶が関節などにたまると、ある日突然、激しい痛み(痛風発作)を引き起こします
    • しっかり水分を摂り、体の中の尿酸濃度を薄めることで、結晶ができるのを防ぐ効果が期待できます
    • 水分は、尿酸が固まるのを邪魔してくれる「魔法の水」のような存在です
  • 全身の健康を守る大切な水

    • 尿酸値が高い状態が続く「高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)」は、痛風発作だけでなく、他の病気とも深く関係しています
    • 例えば、糖尿病や高血圧など、生活習慣病と呼ばれる病気とつながっていることが分かっています
    • 研究では、尿酸値が高いと、体の中で糖をうまく使うための「インスリン」というホルモンの働きが悪くなる可能性が指摘されています
    • インスリンの働きが悪くなると、体全体に影響が出て、糖尿病につながることもあります
    • 高尿酸血症と2型糖尿病は、互いに影響し合う「双方向の関係」があることが分かっています
    • 特に肥満体型の方やご高齢の方では、これら二つの病気が一緒に見つかるケースが増えています
    • 水分を適切に摂ることは、尿酸値を整えるだけでなく、全身の代謝(たいしゃ)のバランスを良くすることにもつながるのです

尿酸値を下げる「正しい水の飲み方」3つのコツ

「水を飲めば良い」というわけではありません。
尿酸値を効果的に下げるためには、「どう飲むか」がとても重要です。
今日からすぐに始められる、具体的な飲み方のコツを3つご紹介します。

  • 喉が渇く前に「ちょこちょこ飲み」

    • 水は一度にガブガブたくさん飲んでも、ほとんどがおしっこになって出ていってしまいます
    • 大切なのは、体の中の水分量をいつも同じくらいに保つことです
    • 喉が渇いたと感じる前に、コップ1杯程度の水を、1日に何回かに分けて飲むようにしましょう
    • 目覚めた時、ご飯とご飯の間、お風呂に入る前や出た後、寝る前など、時間を決めて飲むと習慣にしやすいですよ
  • 1日に「2リットル」を目安に飲もう

    • 尿酸値を下げるためには、1日にだいたい2リットルの水分を摂ることをおすすめします
    • これによって、おしっこの量が増え、尿酸が体の外に出やすくなります
    • ただし、腎臓病(じんぞうびょう)や心臓病(しんぞうびょう)など、病気によっては水分を制限する必要がある方もいます
    • もしご心配な場合は、必ずかかりつけの先生に相談してください
    • 無理のない範囲で、毎日飲む水の量を意識することが大切です
  • 体にやさしい「常温の水」を選ぼう

    • 冷たい水は、体を冷やしてしまうことがあります
    • 特に冬の寒い時期に体を冷やすと、血の巡りが悪くなり、尿酸がスムーズに排出されにくくなるかもしれません
    • 常温の水や、温かいお湯(白湯(さゆ))は、体に負担がかかりにくく、ゆっくりと体に吸収されるのでおすすめです
    • ミネラルウォーターを選ぶ時は、「硬水(こうすい)」と呼ばれる水にも注目してみましょう
    • 硬水にはマグネシウムやカルシウムが多く含まれており、尿をアルカリ性にすることで尿酸が溶けやすくなる効果も期待されています

水以外で尿酸値に良い飲み物・避けるべき飲み物

普段飲む飲み物の選び方も、尿酸値に大きく影響します。
日々の飲み物を意識するだけで、尿酸値のコントロールに役立てることができます。

  • 尿酸値に「プラス」になる飲み物

    • 麦茶やほうじ茶など、カフェインの少ないお茶
      • おしっこを出す働きがあり、尿酸の排出を助けてくれます
      • カフェインが少ないので、たくさん飲んでも体に優しい飲み物です
    • 牛乳や乳製品
      • 尿酸が体から出やすくなったり、体内で作られるのを抑える効果があることが報告されています
      • 脂肪分が気になる方は、低脂肪のものを選ぶと良いでしょう
    • コーヒー
      • 適切な量であれば、尿酸値を下げる効果が期待できるという研究もあります
      • ただし、カフェインの摂りすぎは、体調に影響を与える可能性があるので注意しましょう
    • 水出し緑茶
      • 水出しにすることで、カフェインの量を減らすことができます
      • 緑茶に含まれる「カテキン」というポリフェノールは、抗酸化作用があることで知られています
      • このような「ポリフェノール」や「フラボノイド」といった天然の化合物は、体の中の炎症を抑えたり、インスリンが糖を使う働きを助けたり、尿酸の代謝(分解や排泄)にも良い影響を与える可能性が研究で議論されています
  • 尿酸値に「マイナス」になる飲み物

    • アルコール飲料(特にビール)
      • アルコールそのものが尿酸が作られるのを促進し、おしっこで排出されるのを邪魔してしまいます
      • 特にビールは、プリン体が多く含まれているため、尿酸値を急激に上げてしまいやすい飲み物です
    • 砂糖がたくさん入ったジュースやスポーツドリンク
      • これらに多く含まれる「果糖(フルクトース)」は、体の中で尿酸が作られるのを増やすと言われています
      • 甘い飲み物の飲みすぎには注意が必要です
    • 糖分とカフェインが多い飲み物
      • 砂糖がたくさん入ったコーヒーやエナジードリンクなどは、糖分とカフェインの両方が含まれています
      • 飲みすぎると、尿酸値に悪い影響を与えるだけでなく、他の健康問題にもつながることがあります

痛風発作を防ぐ!尿酸値を下げる生活習慣のポイント

痛風発作は、想像を絶するほどの激しい痛みで、一度経験するとその苦痛は忘れられないものですよね。私たちが診療をする中で、そのつらさを訴える患者さんは少なくありません。しかし、ご安心ください。日々の生活習慣をほんの少し見直すだけで、体の中の尿酸値をしっかりコントロールし、あのつらい発作を防ぐことが十分に可能です。

この章では、具体的な生活習慣のポイントを、医師の視点からわかりやすく丁寧にお伝えします。無理なく続けられる具体的な工夫や、見落としがちな注意点もご紹介しますので、ぜひ一緒に健康的な生活を目指しましょう。

食事・飲酒で尿酸値をコントロールする3つの秘訣

痛風の予防や尿酸値の管理において、食事や飲酒はとても大切な要素です。以下の3つの秘訣を意識して、日々の食生活を見直してみましょう。

  1. プリン体に賢く向き合う食事の工夫

    • プリン体は、細胞の核に含まれる成分で、体内で尿酸に変わります。
    • 特に、肉の内臓(レバーなど)、魚卵(たらこ、いくら)、干物(いわし、あじ)、一部の魚介類(えび、かに、たこなど)には、多くのプリン体が含まれています。
    • これらの食品を全く食べてはいけないわけではありません。
    • 大切なのは、食べすぎないことと、食事全体のバランスを意識することです。
    • たとえば、レバーを食べた日は他の高プリン体食品を控えるなど、食事にメリハリをつけることが重要になります。
  2. アルコールは「種類よりも量」を意識する

    • アルコールは、種類を問わず体内で尿酸の作られる量を増やします。
    • さらに、腎臓(じんぞう)からの尿酸排出(はいしゅつ)も邪魔してしまう作用があるのです。
    • 特にビールは、プリン体が多く含まれていることで知られていますが、日本酒やワインなども飲みすぎは良くありません。
    • 週に2日は休肝日(きゅうかんび)を設ける、飲む量をコップ1杯分減らすなど、具体的な目標を設定して、適量を心がけるようにしましょう。
  3. 尿酸排出を助ける「魔法の食材」を積極的に摂ろう

    • 尿酸値を下げるためには、体の外に尿酸を排出することが重要です。
    • 野菜や海藻類には、尿をアルカリ性にする働きがあり、尿酸が溶けやすくなって排出されやすくなります。
    • また、牛乳やヨーグルトなどの乳製品に含まれる成分も、尿酸の排出を促す効果が期待されています。
    • 研究では、緑茶に含まれるカテキンや、一部の果物、野菜に含まれるポリフェノールやフラボノイドといった天然の化合物が、体の中の炎症(えんしょう)を抑えたり、尿酸の代謝(分解や排出)に良い影響を与える可能性が議論されています。
    • さらに、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)と呼ばれるお腹の中の良い菌のバランスを整えることも、体全体の代謝を良くし、結果的に尿酸値の管理に繋がることが分かってきました。

尿酸値改善に効果的な適度な運動習慣

運動は、単に体重を減らすだけでなく、体全体の代謝を活発にし、尿酸値の改善にとても役立ちます。ただし、運動の種類や強度(きょうど)には注意が必要です。

  • 有酸素運動を毎日の習慣に

    • ウォーキング、軽いジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動は、脂肪を燃焼させ、尿酸値の改善に効果的です。
    • 少し息が弾む程度の心地よい運動を、週に3回以上、1回30分程度続けることを目指しましょう。
    • 無理なく続けられる範囲で、まずは始めてみることが大切です。
  • 「無理は禁物」運動強度と水分補給の注意点

    • 急に激しい運動を始めると、筋肉の細胞が一時的に壊れてプリン体が増え、かえって尿酸値が上がってしまうことがあります。
    • また、運動中の脱水状態も尿酸を濃くしてしまうため、こまめな水分補給が欠かせません。
    • 運動前、運動中、運動後に意識的に水分を摂るように心がけましょう。
  • 肥満を解消して「尿酸の工場」を縮小しよう

    • 肥満は尿酸値の上昇と密接に関係しています。
    • 体脂肪が多いと尿酸が体内で作られやすくなるだけでなく、腎臓(じんぞう)からの尿酸の排出も妨げられやすくなります。
    • 健康的な体重を維持することが、尿酸値管理の重要な土台となります。
    • 当クリニックでは、患者さんの状態に合わせた無理のない運動メニューや、体重管理のアドバイスも提供していますので、お気軽にご相談ください。

見落としがちなストレスと尿酸値の関係

「え?ストレスと尿酸値に関係があるの?」と意外に思われるかもしれませんが、実は非常に深い関係があります。心と体の健康は密接につながっているのです。

  • ストレスが尿酸値を上げてしまう体の仕組み

    • 強いストレスを感じると、私たちの体は緊張モード(交感神経(こうかんしんけい)が優位な状態)になり、アドレナリンなどのストレスホルモンがたくさん分泌されます。
    • これらのホルモンは、体全体の代謝を活発にする一方で、腎臓(じんぞう)での尿酸の排出を抑えてしまうことが分かっています。
    • その結果、体の中に尿酸がたまりやすくなり、尿酸値が上昇する原因となることがあるのです。
    • さらに、ストレスからつい食べすぎたり、お酒を飲みすぎたりしてしまい、それがまた尿酸値を上げてしまうという悪循環に陥ることも少なくありません。
  • 心と体を休ませて、ストレスを上手に手放すコツ

    • ストレスをゼロにすることは難しいですが、上手に付き合い、解消する方法を見つけることが大切です。

    • 十分な睡眠を確保する

      • 睡眠不足はストレスを増やし、体の回復を妨げます。
      • 質の良い睡眠を7~8時間確保するように心がけましょう。
    • リラックスできる時間を意識的に作る

      • 好きな音楽を聴く、温かいお風呂にゆっくり浸かる、アロマを楽しむなど、自分が心地よいと感じる時間を毎日少しでも作りましょう。
    • 気分転換になる趣味を見つける

      • 気分転換になる趣味に没頭したり、自然の中で過ごしたりすることも、心の疲れを癒すのに効果的です。
    • 適度な運動を取り入れる

      • 軽い運動は、心のリフレッシュにもつながり、ストレス解消効果も期待できます。
    • ストレスと適切に向き合い、心と体をケアすることで、尿酸値の安定にも良い影響が期待できるのです。

痛風と合併しやすい生活習慣病3選と予防策

高尿酸血症は、単独で発生する病気ではありません。他の様々な生活習慣病と深く関わり合い、特に以下の3つの病気は合併しやすいことが分かっています。高尿酸血症とこれらの病気が互いに影響し合うことで、より健康リスクが高まります。

  1. 2型糖尿病:尿酸値と血糖値の「双方向の関係」

    • 高尿酸血症と2型糖尿病は、病気の原因や合併症を共有する、非常に密接な関係にある代謝(たいしゃ)の病気です。
    • 研究により、尿酸値が高くなることが、体の中で糖をうまく使うための「インスリン」というホルモンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性(インスリンテイコウセイ)」を引き起こし、糖尿病の発症リスクを高めることが明らかになっています。
    • 逆に、インスリン抵抗性がある状態は、腎臓(じんぞう)からの尿酸の排出を低下させ、尿酸値をさらに上げてしまうという「双方向の関係」があることが分かっています。
    • 特に肥満の方やご高齢の方で、この二つの病気が同時に見つかるケースが増えています。
    • 当クリニックは糖尿病専門医が複数在籍しており、尿酸値と血糖値の両面からきめ細やかな治療を提供しています。
  2. 高血圧:血管への負担が血圧を上げる

    • 高尿酸血症の患者さんは、高血圧を合併する割合が高いことが知られています。
    • 尿酸値が高い状態が続くと、血管の細胞に負担がかかり、血管が硬くなったり狭くなったりして血圧が上がりやすくなります。
    • また、高血圧の治療薬の中には、尿酸値を上昇させてしまうものもありますので、自己判断せず、必ず医師に相談してください。
    • ご自身の血圧を日頃から測定し、正常値を保つように心がけることが大切です。
  3. 脂質異常症(高脂血症):動脈硬化のリスクを高める

    • 脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪のバランスが崩れる病気です。
    • 高尿酸血症と脂質異常症は、高カロリー食や運動不足といった共通の生活習慣が原因で起こりやすく、一緒に見つかることがよくあります。
    • これらの病気が同時に存在すると、動脈硬化(どうみゃくこうか)が進行しやすくなり、心臓病(しんぞうびょう)や脳卒中(のうそっちゅう)といった重い病気のリスクが格段に高まってしまいます。

生活習慣病予防と早期発見の重要性

  • これらの生活習慣病を予防するためには、痛風の予防策と同様に、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、そしてストレス管理が非常に重要です。
  • そして何よりも、定期的に健康診断を受け、尿酸値だけでなく、血糖値、血圧、脂質の値を総合的にチェックし、体の変化を早期に発見して治療につなげることが、皆さんの長期的な健康を守るために欠かせません。
  • 当クリニックでは、糖尿病・甲状腺・内分泌の専門医が複数在籍し、生活習慣病の総合的なサポートを提供しています。気になることがあれば、いつでもご相談ください。

痛風の症状理解と専門医に相談すべき3つのタイミング

痛風発作は、まるで突然の嵐のように、激しい痛みとともに現れるつらい症状です。一度経験すると、その痛みが忘れられず、「またいつ来るのだろう」と不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、痛風は症状を正しく理解し、適切なタイミングで専門医にご相談いただくことで、発作を予防し、痛みから解放された穏やかな毎日を取り戻せる病気です。

この章では、痛風の症状や尿酸値の基準、そして大切な応急処置についてお話しします。いつ専門医に相談すべきかについても、わかりやすくお伝えしていきますので、ご自身の健康を守るためにぜひ参考にしてください。

これが痛風発作のサイン?主な症状と自己診断の注意点

痛風発作は、その激しい痛みが特徴です。一般的に、夜中や明け方に突然、足の親指の付け根が痛み出すことが多いですが、他にも次のようなサインが見られることがあります。

  • 激しい痛み
    • ズキズキと脈打つような痛みで、風が吹いても痛いと感じるほどです。
    • 布団が触れるだけでも激痛を感じると言われることもあります。
  • 赤みと腫れ
    • 痛む関節が赤く腫れ上がり、熱を持つことがあります。
  • 押せないほどの痛み
    • 炎症がひどく、触れることすら難しいほどの痛みに襲われます。

発作の数日前から、関節に少し違和感があったり、ピリピリとした感覚があったりする方もいらっしゃいます。このようなサインに気づいたら、早めに医療機関を受診することが大切です。

ただし、関節の痛みや腫れは、痛風だけが原因ではありません。似たような症状を引き起こす他の病気もあるため、自己判断はせずに必ず医療機関を受診しましょう。例えば、以下のような病気があります。

  • 偽痛風(ぎつうふう)
    • 痛風と似た発作を起こしますが、原因となる結晶の種類が異なります。
  • 関節リウマチ
    • 複数の関節に炎症が起こり、変形することもある自己免疫疾患です。
  • 感染性関節炎
    • 細菌などの感染によって関節に炎症が起こる病気です。

これらの病気と痛風を見分けるためには、専門医による正確な診断が非常に重要です。

特に、関節の内部で起こる初期の病的な変化を詳しく見るためには、MRI(磁気共鳴画像診断)のような精密な画像診断が大変役立ちます。MRIは、滑膜炎や骨炎といった関節内部の初期変化を詳細に捉えることが期待できる検査です。

  • 滑膜炎(かつまくえん)
    • 関節を覆う膜(滑膜)の炎症です。
  • 骨炎(こつえん)
    • 骨自体に起こる炎症です。
  • 骨びらん(こつびらん)
    • 骨が少しずつ溶けてしまう変化です。
  • 腱鞘炎(けんしょうえん)
    • 腱の周りの鞘(腱鞘)に起こる炎症です。

MRIは特徴的な画像パターンを捉えることで、これら様々な種類の関節炎を鑑別するのに役立つのです。MRIを早期に利用することで、病気の原因を特定し、タイムリーで的を絞った介入が可能になります。これにより、不可逆的(元に戻らない)な関節損傷のリスクを最小限に抑えることができるのです。MRIによる詳細な所見を医師が正確に理解することで、診断精度が向上し、より適切な治療方針の決定につながります。手や足の関節に痛みや腫れがある場合は、自己判断せずに専門医にご相談ください。

尿酸値の正常範囲と高尿酸血症の診断基準

痛風発作の背景には、「尿酸値が高い状態」が長く続いていることがあります。血液中の尿酸の濃度を「尿酸値」と呼び、この値が高い状態が「高尿酸血症」です。ご自身の尿酸値がどのくらいなのかを知ることは、痛風予防の第一歩となります。

  • 尿酸値の正常範囲

    • 一般的に、男性は2.0~7.0mg/dLが目安です。
    • 女性は2.0~5.0mg/dLが目安とされています。
    • これらの値は、あくまで一般的な目安であり、個人差や測定方法によって多少異なることがあります。
  • 高尿酸血症の診断基準

    • 血清尿酸値が7.0mg/dLを超える場合、「高尿酸血症」と診断されます。

高尿酸血症は、症状がない「無症候性高尿酸血症」の段階では、ご自身で気づくことはほとんどありません。しかし、この状態を放置すると、以下のようなリスクが高まります。

  • 痛風発作
    • 関節に尿酸の結晶がたまり、激しい痛みを引き起こします。
  • 腎機能の低下
    • 尿酸が腎臓に負担をかけ、機能が低下する可能性があります。
  • 尿路結石(にょうろけっせき)
    • 尿酸が固まって結石となり、激しい痛みや血尿の原因になります。
  • 他の生活習慣病の悪化
    • 高血圧、糖尿病、脂質異常症といった病気を悪化させるリスクも高まります。

健康診断で尿酸値が高いと指摘されたら、症状がなくても放置せず、早めに医療機関で相談することが大切です。定期的な健康チェックを通じて、ご自身の尿酸値を把握し、適切な管理を心がけましょう。

痛風発作が起きた時の応急処置と痛みの和らげ方

もし、突然痛風発作が起きてしまったら、その激しい痛みにどう対処すれば良いのでしょうか。ここでは、ご自宅でできる応急処置と、痛みを少しでも和らげるための方法をご紹介します。

  1. 患部を冷やす
    • 痛む場所が熱を持っていたら、濡れタオルや冷湿布、氷嚢などで冷やしてください。
    • 冷やすことで炎症を抑え、痛みが少し和らぐことがあります。
    • ただし、冷やしすぎると血行が悪くなることもあるので、様子を見ながら行いましょう。
  2. 安静にする
    • 無理に動かしたり、体重をかけたりすると、さらに炎症が悪化する可能性があります。
    • できるだけ患部に負担をかけないように、安静にして横になりましょう。
  3. 飲酒やプリン体を多く含む食品の摂取を控える
    • 発作中は、アルコールやプリン体を多く含む食品の摂取は避けてください。
    • これらの摂取は、尿酸値をさらに上昇させ、症状を悪化させる可能性があります。
  4. 水分補給を心がける
    • 脱水状態になると尿酸が濃縮されやすくなります。
    • 普段よりも意識して水分(水やお茶など)を摂るようにしましょう。

これらの応急処置は、あくまで一時的に痛みを和らげるためのものです。発作が治まっても、高尿酸血症自体が治ったわけではありません。痛みが引いた後も、自己判断で安心せず、必ず医療機関を受診し、根本的な治療と今後の予防について医師に相談することが非常に大切です。

専門医に相談すべき3つのタイミングとクリニック選びのポイント

痛風は、適切な治療と生活習慣の見直しによって管理できる病気です。痛みから解放され、より健康的な毎日を送るために、専門医に相談すべき大切なタイミングを3つご紹介します。

  1. 痛風発作が初めて起きたとき、または再発したとき
    • 激しい痛みを伴う発作を経験したら、すぐに医療機関を受診してください。
    • 痛風と診断されたら、今後の予防と治療のために専門医による継続的な管理が必要です。
  2. 健康診断で尿酸値が高いと指摘されたとき
    • 症状がなくても、尿酸値が7.0mg/dLを超える「高尿酸血症」と診断されたら、痛風発作や合併症を防ぐために、早めに相談しましょう。
  3. 他の生活習慣病がある、または治療中の場合
    • 糖尿病や高血圧、脂質異常症、腎臓病など、他の生活習慣病をお持ちの方は、尿酸値が高いことでこれらの病状が悪化する可能性もあります。
    • 全体の健康管理のためにも、専門医に相談してください。

クリニック選びのポイント

  • 専門医の有無
    • 痛風や生活習慣病の専門知識を持つ医師が在籍しているクリニックを選びましょう。
    • 専門医による診断と治療は、病状の正確な把握と適切な管理につながります。
  • 通いやすさ
    • 継続的な治療のためには、ご自身のライフスタイルに合わせて通いやすい場所にあるかが重要です。
  • 検査体制
    • 患者さんの負担を考慮した検査方法や、適切な診断のための設備が整っているかを確認しましょう。
  • 信頼関係
    • 病気について安心して相談でき、長期的にご自身の健康管理を任せられる「かかりつけ医」を見つけることが大切です。

当院では、糖尿病や甲状腺疾患だけでなく、痛風を含む幅広い生活習慣病のスペシャリストが在籍しております。患者さんの身体的負担を減らすため、採血以外の検査では、例えば連続血糖測定器(リブレ)のように採血不要な方法を導入するなど、患者さんお一人おひとりに寄り添った医療を提供しています。気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

まとめ

今回の記事では、汗をかきにくい冬にこそ注意が必要な痛風と、尿酸値を下げるための「正しい水の飲み方」について詳しくお伝えしました。冬は体が冷えやすく、乾燥も進むため、知らず知らずのうちに体内の水分が不足し、尿酸値が上がりやすい季節です。

喉が渇く前にこまめに常温の水を飲む、1日2リットルを目安に水分補給を心がけるなど、簡単な工夫で尿酸値をコントロールすることができます。また、水分補給だけでなく、食事内容や適度な運動、ストレスケアといった生活習慣全体を見直すことが、つらい痛風発作の予防につながります。

もし健康診断で尿酸値が高いと指摘されたり、関節の痛みを感じたりした場合は、一人で抱え込まず、早めに専門医にご相談ください。適切なアドバイスと治療で、健やかな毎日を取り戻しましょう。

参考文献

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