「お酒はほとんど飲まないのに、健康診断で脂肪肝を指摘されて驚かれた方も多いのではないでしょうか。実は、飲酒習慣がない方に増えている脂肪肝の主な原因の一つが「糖質の摂りすぎ」なのです。
朝食のパンや麺類、健康的なイメージの果物にも潜む糖質が、知らず知らずのうちに肝臓に負担をかけているかもしれません。初期症状がない「サイレントキラー」とも呼ばれ、見た目が痩せている方でも約15人に1人が糖尿病にかかっているというデータもあり、脂肪肝は放置すれば肝硬変や肝がんへと進行するリスクをはらんでいます。
この記事では、あなたの生活に潜む「隠れ脂肪肝」のメカニズムから、明日から実践できる具体的な糖質コントロール術、そして専門医による継続的なサポートの重要性までを詳しくご紹介します。今日から肝臓の健康を守る一歩を踏み出しませんか?
朝はパン派?麺類好き?お酒を飲まない人が脂肪肝になる「糖質」の問題
「お酒はほとんど飲まないのに、健康診断で脂肪肝を指摘されてしまって……」と、驚かれる方がたくさんいらっしゃいます。なぜ、お酒を飲まないのに脂肪肝になってしまうのか、ご自身の食生活や生活習慣を見直すきっかけにしたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。この見出しでは、飲酒習慣がない方に増えている脂肪肝の原因について、一緒に考えていきましょう。
糖質の摂りすぎが引き起こす肝臓への影響
お酒を飲まない方の脂肪肝は、「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)」と呼ばれています。このNAFLDの主な原因の一つが、糖質の摂りすぎであることが分かっています。私たちが食事から摂り入れた糖質は、体が動くためのエネルギーとして使われます。しかし、必要以上に糖質を摂りすぎてしまうと、使いきれなかった糖質は肝臓で中性脂肪へと姿を変えて蓄えられてしまうのです。
特に、パンや麺類、ご飯といった主食類は、多くの糖質を含んでいます。また、甘い飲み物や果物なども、知らない間にたくさんの糖質を摂ってしまう原因になります。これらの糖質を過剰に摂り続けることは、肝臓に大きな負担をかけ、脂肪がたまる一因となるのです。
肝臓は、体の中で脂肪のやり取りをコントロールする、とても大切な働きをしています。このとき、「遊離脂肪酸受容体(FFAR)」という、体の中にあるセンサーのようなものが重要な役割を果たしています。このFFARは、体がどれくらい脂肪を持っているか、どのような種類の脂肪があるかを感知しています。そして、肝臓がエネルギーをどのように使うか、脂肪をどのように処理するかを調節しているのです。
FFARにはいくつか種類があり、それぞれが体の中の脂肪のバランスを保つために働いています。例えば、糖尿病や心臓病などの病気の治療にも、このFFARの働きが注目され、研究が進められています。しかし、糖質を摂りすぎると、この大切なFFARの働きがうまくできなくなることがあります。そうなると、肝臓は脂肪をうまく処理できなくなり、中性脂肪がどんどんたまって、脂肪肝になってしまう危険性があるのです。
毎日の食事で知らず知らずのうちに、肝臓へ負担をかけているかもしれません。ご自身の食生活を振り返り、糖質の摂りすぎになっていないか確認することが大切です。
隠れ脂肪肝のサインと自覚症状
脂肪肝は「サイレントキラー(静かなる殺人者)」とも呼ばれています。なぜなら、病気の初期の段階では、ほとんど症状が出ないからです。そのため、健康診断で偶然指摘されて、初めて脂肪肝だと気づく方が非常に多くいらっしゃいます。
しかし、注意深く自分の体と向き合ってみると、小さなサインが出ていることもあります。例えば、
- 何となく体がだるくて、朝起きるのが辛い
- 以前より疲れが取れにくく、なかなか休まらない
- 仕事や勉強に集中力が続かない
- 趣味などに打ち込む気力がわかない
といった、漠然とした体調不良を感じることがあるかもしれません。これらは、忙しい現代社会では「よくあること」として見過ごされがちです。
また、お腹のあたりが張っているように感じたり、右のあばら骨の下あたりに軽い違和感を覚えたりすることもあります。しかし、このような感覚も、はっきりとした痛みではないため、深刻に捉えない方がほとんどです。
症状がないからといって、脂肪肝を放置してしまうのは大変危険です。脂肪肝は、進行すると「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」へと悪化し、肝硬変や肝がんといった命に関わる病気につながる可能性があります。健康診断で肝機能の数値が悪かったり、腹部エコーで脂肪肝を指摘されたりした場合は、症状がなくても専門の医療機関へ早めに相談することが非常に重要です。早い段階で生活習慣を見直すことが、肝臓の健康を守り、より重い病気を防ぐための第一歩となるでしょう。
「痩せ型」でも脂肪肝になるメカニズム
脂肪肝と聞くと、「太っている人がなる病気」というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし、実は見た目が痩せている方でも脂肪肝になることがあるのです。これを「痩せ型脂肪肝」と呼んでいます。見た目が痩せているからといって、安心はできない時代になってきました。
世界中で行われた多くの研究をまとめてみると、驚くべきデータが明らかになっています。見た目が痩せている脂肪肝の方の中でも、約15人に1人(15.6%)が糖尿病にかかっていることが分かっています。さらに、糖尿病の一歩手前の「前糖尿病(糖尿病予備群)」の状態の方も、約22人に1人(22.9%)と少なくありません。このデータは、痩せている方でも糖尿病になるリスクが高いことを示唆しており、たとえ痩せていても脂肪肝を放置すべきではないという強いメッセージを投げかけています。
では、なぜ痩せているのに脂肪肝になってしまうのでしょうか。そのメカニズムには、いくつか理由が考えられます。
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内臓脂肪が多い「隠れ肥満」の状態
手足は細いのに、お腹の周りだけに脂肪が集中している「隠れ肥満」の方がいます。外見では痩せているように見えても、内臓の周りに多くの脂肪がたまっている状態です。この内臓脂肪が多いと、肝臓にも脂肪がつきやすくなります。 -
糖質の摂りすぎ
体重の増減に関わらず、糖質の摂りすぎは肝臓に脂肪をため込ませる大きな原因です。特に、清涼飲料水や菓子パン、インスタント食品などを日常的に摂る習慣がある方は注意が必要です。これらの食品は、手軽に食べられますが、多くの糖質を含んでいます。 -
運動不足
運動不足は、体のエネルギー消費を減らし、新陳代謝を悪くします。これにより、体内で余分な糖質や脂肪が処理されにくくなり、肝臓に脂肪がつきやすくなってしまいます。 -
遺伝的な体質や「インスリン抵抗性」
ご家族に糖尿病の方がいるなど、遺伝的な体質が関係していることがあります。また、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが、体にうまく作用しなくなる「インスリン抵抗性」という状態も、痩せ型脂肪肝の原因となることがあります。インスリン抵抗性があると、体は血糖値を下げようと余分にインスリンを分泌し、それが肝臓での脂肪合成を促進してしまうのです。
見た目だけでは分からない脂肪肝のリスクがあることを理解し、日々の食生活や運動習慣を見直すことが、肝臓の健康を守るために非常に大切です。ご自身の体の状態を正確に知り、適切な対策を始めることが健康への第一歩となります。
脂肪肝を改善する糖質コントロール食事術5選
お酒をほとんど飲まないのに、健康診断で「脂肪肝」を指摘され、不安を感じている方は少なくありません。特に、毎日の食生活を見直したいけれど、何から始めたら良いかわからないという方もいらっしゃるでしょう。脂肪肝の改善には、食事の中でも特に「糖質」を上手にコントロールすることが大切です。
ここでは、糖尿病・内分泌専門医である私たちが、皆さんの日々の食卓に取り入れやすい具体的な方法を5つのポイントに分けてご紹介します。ぜひご自身のペースで、肝臓の健康を守るための食習慣を始めてみましょう。
毎日食べる「パン」や「麺類」の選び方と注意点
私たちの食生活に欠かせないパンや麺類は、手軽に食べられる便利な食品です。しかし、これらの食品は多くの糖質を含んでいます。特に、精製された白いパンやうどん、パスタなどは、消化吸収が早く、食べた後に血糖値が急激に上がってしまうことがあります。
血糖値の急上昇は、肝臓に大きな負担をかけ、脂肪を蓄積しやすくする原因となります。そのため、パンや麺類の選び方や食べ方には注意が必要です。
【血糖値を上げにくいパンや麺類の選び方と工夫】
- 全粒粉パン、ライ麦パンを選びましょう
- 食物繊維が豊富で、血糖値の急上昇を穏やかにしてくれます。
- 噛み応えがあるため、満足感も得やすいメリットがあります。
- 市販の白い食パンと比べると、全粒粉パンは食物繊維が約4倍も多く含まれています。
- そば、全粒粉パスタを選びましょう
- うどんやラーメンに比べて、そばや全粒粉パスタは糖質の吸収が穏やかです。
- ただし、食べ過ぎてしまわないよう、量は意識的に調整することが大切です。
- 主食の量を調整する工夫をしましょう
- いつも食べているご飯やパンの量を、意識的に減らすことから始めてみましょう。
- 例えば、おにぎりなら小さめのものを選ぶ、食パンなら8枚切りにするなどです。
- 1回の食事で摂る糖質の量を少し減らすだけでも、肝臓への負担を減らすことにつながります。
- 野菜やたんぱく質を一緒に摂りましょう
- パンや麺類を単独で食べるのではなく、サラダや卵、鶏肉などと一緒に摂りましょう。
- これにより、血糖値の急上昇を抑えやすくなります。
- 野菜を最初に食べる「ベジタブルファースト」も有効な方法です。
健康的なイメージの「果物」に含まれる糖質の落とし穴
「果物は体に良い」というイメージから、積極的に毎日摂っている方も多いかもしれません。確かに果物にはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。しかし、同時に「果糖」という種類の糖質も多く含まれていることに注意が必要です。
この果糖は、肝臓で代謝されやすい特徴があります。そのため、摂りすぎると中性脂肪として蓄積されやすく、脂肪肝の原因になることがあります。特に、ジュースやスムージーは、多くの果物が凝縮されているため、知らない間に大量の果糖を摂取してしまう可能性があります。
【果物と上手に付き合うポイント】
- 1日の量を控えめにしましょう
- 1日あたりの果物の摂取量は、片手に乗るくらいの量が目安です。
- 例えば、みかん1個、りんご半分、バナナ1本などが一般的な目安となります。
- 「毎日食べたい」という方は、量を決めて少量ずつ楽しむことが肝臓への優しさです。
- 食べるタイミングを考えましょう
- 食後に血糖値がすでに上がった状態で果物を摂取すると、さらに血糖値が上昇しやすくなります。
- 食前や間食として、単独で摂るようにすると、比較的血糖値への影響を抑えられます。
- 朝食に果物を少量加えるなど、工夫してみましょう。
- 糖質が比較的少ない種類を選びましょう
- ベリー類(イチゴ、ブルーベリーなど)や柑橘類は、比較的糖質が少なめです。
- これらの果物を少量選ぶのがおすすめです。
- ドライフルーツは水分が凝縮されているため、生の果物よりも糖質が高くなるので注意しましょう。
- ジュースよりも生の果物を選びましょう
- 果物ジュースは、加工の過程で食物繊維が失われがちです。
- さらに、生の果物をそのまま食べるよりも、糖質の吸収が早くなります。
- できるだけ生の果物をそのまま食べるように心がけましょう。
外食・コンビニ食で賢く糖質を抑えるコツ
仕事や子育てで忙しい毎日を送る中で、外食やコンビニ食を利用する機会は多いと思います。「健康のために自炊しないといけない」とストレスを感じる必要は全くありません。賢くメニューを選び、少しの工夫をするだけで、外食やコンビニ食でも糖質をコントロールすることは十分に可能です。
【外食・コンビニ食で糖質を抑える具体的な工夫】
- 定食メニューを選びましょう
- ご飯、汁物、主菜、副菜が揃った定食は、栄養バランスがとりやすいメニューです。
- ご飯の量を少なめにしてもらい、野菜のおかずを追加すると、さらにバランスが良くなります。
- 麺類や丼物よりは定食がおすすめです
- ラーメンやパスタ、丼物は、糖質が非常に多くなりがちです。
- 可能であれば、魚や肉がメインの定食メニューを選び、主食の量を調整しましょう。
- 野菜や海藻を積極的にプラスしましょう
- コンビニでは、サラダやカット野菜、海藻サラダなどを積極的に選びましょう。
- 食事の最初に野菜を食べる「ベジタブルファースト」を実践すると、血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。
- 温野菜や和え物なども良い選択肢です。
- 糖質オフ表示の食品を活用しましょう
- 最近は、パンやデザート、麺類など、糖質オフと表示された商品が増えています。
- これらを上手に活用することで、無理なく糖質制限を続けることができます。
- 商品パッケージの栄養成分表示を確認する習慣をつけましょう。
- 飲み物にも注意を払いましょう
- 甘い清涼飲料水は、多くの糖質を含んでいます。
- お茶や水、無糖のコーヒーや紅茶などを選び、糖質の摂取を控えましょう。
継続できる運動習慣のポイントと効果
脂肪肝の改善には、食事だけでなく運動も非常に大切です。体を動かすことで、肝臓に蓄積された脂肪を減らし、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きを良くする効果が期待できます。しかし、「運動は苦手」「時間がない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。無理なく、生活に取り入れやすい運動から始めて、習慣にしていくことが成功の鍵となります。
【無理なく継続できる運動習慣のポイント】
- 有酸素運動を取り入れましょう
- ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など、少し息が上がる程度の運動がおすすめです。
- 週に3~5回、1回あたり30分程度の実施が理想的とされています。
- 例えば、近所の散歩や買い物に行く際に、少し遠回りをするだけでも運動になります。
- 筋力トレーニングも効果的です
- 筋肉量が増えると、体が糖を消費する能力が高まります。
- スクワットや腕立て伏せ、腹筋運動など、自宅でできる簡単な筋トレから始めてみましょう。
- 筋肉は、脂肪肝の改善だけでなく、基礎代謝の向上にもつながります。
- 日常生活に運動を組み込みましょう
- 一駅分歩いてみる、エレベーターではなく階段を使うなど、意識的に体を動かす機会を増やしましょう。
- 掃除や庭仕事なども、立派な運動になります。
- 短い時間でも、毎日継続することが重要です。
- 目標設定は小さく始めましょう
- 最初から高い目標を立てるのではなく、「毎日15分散歩する」「週に2回はストレッチをする」など、達成しやすい目標から始めましょう。
- 小さな成功体験を積み重ねることで、モチベーションを維持しやすくなります。
- 運動した日や内容を記録しましょう
- ノートやスマートフォンのアプリなどで、運動した日や内容を記録することをおすすめします。
- 自分の頑張りが「見える化」されることで、モチベーションの維持に繋がります。
- 記録を見返すことで、継続の自信にもなります。
肝臓の健康をサポートする食品と腸内環境
肝臓の健康を保つためには、糖質コントロールだけでなく、腸内環境を整えることも非常に重要です。近年、腸内環境と肝臓の密接な関係は「腸-肝軸(ちょうかんじく)」と呼ばれ、注目されています。腸内細菌のバランスが崩れると、肝臓に炎症が起きやすくなることが分かってきています。
腸と肝臓は、血管を通じて密接に連絡を取り合っています。腸内で発生した毒素や炎症を引き起こす物質が、血管を通じて肝臓に運ばれ、肝臓に負担をかけることがあるのです。そのため、腸内環境を良くすることは、肝臓を守ることにも繋がります。
【肝臓の健康と腸内環境をサポートする食品】
- 食物繊維が豊富な食品を積極的に摂りましょう
- 野菜、海藻、きのこ類、こんにゃく、豆類、全粒穀物などを意識して食べましょう。
- これらの食物繊維は、腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増やして腸内環境を整えます。
- 特にキトサンやキトオリゴ糖といった成分は、腸管のバリア機能を高める働きがあることが分かっています。
- 体に良い腸内細菌を増やすことで、肝臓の炎症を抑える可能性も期待されています。
- また、これらの成分は、肝臓での脂質のバランスを整える働きも研究されています。
- 発酵食品を取り入れましょう
- ヨーグルト、納豆、味噌、漬物など、日本人が古くから親しんできた発酵食品は、腸内フローラを改善します。
- 乳酸菌やビフィズス菌が、肝臓への負担を減らすことに役立ちます。
- 毎日少しずつ取り入れることがポイントです。
- 良質なたんぱく質を適切に摂りましょう
- 肝臓の細胞を修復・再生するためには、たんぱく質が欠かせません。
- 魚、鶏むね肉、大豆製品(豆腐や納豆)などから、バランス良くたんぱく質を摂りましょう。
- ただし、肉類は脂質が多くなりすぎないように、調理法にも気を配ることが大切です。
- 抗酸化作用のある食品もおすすめです
- 緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど)、柑橘類などは、抗酸化作用のある成分が豊富です。
- これらの食品は、肝臓の酸化ストレス(細胞が傷つくこと)を軽減する働きがあります。
- シークワーサーの種子には、抗炎症作用や抗酸化作用を持つ成分が豊富に含まれていることも、研究で明らかになっています。
- 肝臓の健康をサポートする可能性も示唆されていますので、様々な食品をバランス良く食事に取り入れてみましょう。
これらの食品を日々の食事にバランス良く取り入れることで、糖質コントロールと合わせて、より効率的に脂肪肝の改善を目指すことができます。日々の生活の中で、ご自身に合った方法を見つけて、肝臓を労わる食習慣を身につけていきましょう。
脂肪肝の診断から合併症予防、専門医に相談する重要性
「お酒を飲まないのに、脂肪肝と言われてしまいました。私に何が起きているのでしょうか?」
健康診断で突然、脂肪肝を指摘されて驚きや不安を感じる方は少なくありません。
多くの方が「なぜ私が?」と感じ、どうすれば良いか分からずに立ち止まってしまうかもしれません。
しかし、脂肪肝は放置すると、より深刻な病気へと進んでしまう可能性を秘めている、注意が必要な状態です。
ご自身の体の状態を正しく知り、適切な対策を始めるためには、専門の医師に相談することが非常に大切になります。
私たちは、あなたの不安を少しでも和らげ、健康な未来へ向かうお手伝いをしたいと考えています。
脂肪肝の検査方法と診断基準
脂肪肝かどうかを判断するためには、いくつかの検査が必要です。
これらの検査は、肝臓の健康状態を詳しく調べ、あなたにとって最適な治療方針を見つけるために行われます。
では、どのような検査があるのか、具体的に見ていきましょう。
1. 採血検査で体のサインを探る
血液検査では、肝臓が元気に働いているかを示す大切な数値を確認します。
- 肝機能の数値
- AST、ALT、γ-GTPといった項目です。
- これらの数値が高いと、肝臓に負担がかかっているサインとなります。
- 脂質や血糖値の確認
- 血液中の脂質の量(コレステロールや中性脂肪)や血糖値も調べます。
- これらの数値に異常があると、脂肪肝だけでなく、糖尿病や脂質異常症といった他の生活習慣病が隠れている可能性も考えられます。
採血検査は、目に見えない体の変化を捉える第一歩となるのです。
2. 画像診断で肝臓の様子を「見える化」する
肝臓に脂肪がどのくらい溜まっているかを見るために、画像検査が行われます。
これらの検査は、肝臓の「お部屋」にどれだけ脂肪が蓄積されているかを確認するものです。
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腹部超音波検査(エコー)
- 超音波という音の波を使って、肝臓の様子をモニターで観察します。
- 脂肪がたくさん溜まっている肝臓は、画面上で白っぽく映ることが多いです。
- 患者さんへの負担が少なく、手軽に受けられるため、脂肪肝の有無や程度を調べる最も一般的な検査方法として広く用いられています。
- まさに「お腹の中をのぞき見する」ような感覚で、肝臓の状態を確認できます。
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CT検査やMRI検査
- より詳しく肝臓の内部の状態や、脂肪以外の他の病気がないかなどを調べるために行われることがあります。
- これらの検査は、エコーでは見えにくい部分まで確認でき、より精密な診断に繋がります。
- 必要に応じて、専門医が判断して行います。
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肝生検
- ごくまれに、肝臓の組織を一部採取して顕微鏡で詳しく調べる検査が必要となることもあります。
- これは確定診断に使われますが、体への負担があるため、慎重に検討される検査です。
- 細胞レベルで肝臓の状態を確認できるため、非常に重要な情報が得られます。
3. 脂肪肝の診断基準とは?
脂肪肝と診断されるのは、一般的に以下の条件が満たされた場合です。
- 画像検査での確認
- 腹部エコーなどの画像検査で、肝臓に脂肪が過剰に蓄積していることがはっきりと確認されます。
- アルコール摂取量の目安
- アルコールの摂取量が少ない、または全くないことが条件となります。
- 具体的には、男性でエタノール換算で1日に約30g以下、女性で約20g以下が目安です。
- この量を毎日超えて飲む方は、アルコール性脂肪肝の可能性も考慮されます。
- 他の肝臓病の除外
- ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎など、脂肪肝以外の他の肝臓病がないことが確認されている必要があります。
これらの検査結果を総合的に判断し、あなたの肝臓の状態を正確に把握していきます。
- ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎など、脂肪肝以外の他の肝臓病がないことが確認されている必要があります。
脂肪肝を放置すると怖い合併症リスク
脂肪肝は、初期の段階ではほとんど自覚症状がないため、「沈黙の臓器」である肝臓の病気と言われています。
そのため、健康診断などで指摘されても「たいしたことないだろう」と自己判断してしまい、治療をせずに放置してしまうケースも少なくありません。
しかし、脂肪肝をそのままにしておくと、大変怖い合併症を引き起こすリスクがあるため、決して軽視してはいけません。
特に注意が必要なのは、「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」への進行です。
単純な脂肪肝は、肝臓に脂肪が溜まっているだけの状態です。
しかし、脂肪肝炎になると、肝臓に炎症が起こり、肝細胞が壊れてしまうことが問題となります。
事実、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の世界的有病率は著しく増加しており、その中でも非アルコール性脂肪肝炎(NASH)へと進行する方が増えています。
NASHは、肝臓が硬くなる「線維症」を引き起こし、最終的には「肝硬変」や「肝細胞がん」といった命に関わる重篤な病気へと繋がるリスクが高まります。
肝硬変や肝臓がんは、一度進行すると元の状態に戻すことが非常に困難になる病気です。
このような病気の仕組みを詳しく解明し、新しい治療法や診断法を見つけるため、世界中で様々な研究が進められています。
例えば、小さな魚であるゼブラフィッシュというモデル生物を使った研究が活発に行われています。
ゼブラフィッシュは、NAFLDやNASHがどのように発症し、進行するのかといった病気のメカニズム、そしてどのような薬が効果的なのかを探るために使われています。
食事や遺伝子、さらには化学的なアプローチなど、さまざまな方法で病気を再現し、その反応を分子レベルで詳しく調べているのです。
この研究は、肝臓の脂質の代謝や炎症がどのように起こるかなど、貴重な情報をもたらしています。
将来的には、これらの研究が新しい治療法の発見や、より効果的な診断につながる可能性を秘めているのです。
また、脂肪肝は肝臓だけの問題にとどまりません。
糖尿病や高血圧、脂質異常症といった他の生活習慣病の発症や悪化にも深く関わっています。
これらの病気は、心臓病や脳卒中など、さらに重い病気を引き起こす原因となるため、脂肪肝は全身の健康状態に影響を及ぼす可能性があるのです。
これらの深刻な合併症を防ぐためには、脂肪肝の段階で適切な対策を取り、治療を始めることが極めて大切になります。
健康診断で指摘されたら、症状がなくても必ず専門医に相談しましょう。
リブレを活用した「見える化」で効果的な血糖管理
「脂肪肝を改善するために、食事や運動を頑張りたいけれど、本当に効果が出ているのか分からない…」
このように感じて、途中で挫折してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そこで役立つのが、連続血糖測定器「リブレ」です。
リブレは、腕に小さなセンサーを装着することで、24時間いつでも血糖値の変動を測定できる医療機器です。
腕に小さなセンサーを装着するだけで、24時間いつでもリアルタイムであなたの血糖値の変動を測定できます。
採血をする必要がないため、痛みを感じることなく、毎日の血糖値の動きを詳細に「見える化」することができるのが大きな特徴です。
この「見える化」が、脂肪肝の改善にどのように役立つのでしょうか?
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食後の血糖値スパイクを把握
- 朝食で食べたパンや、ランチの麺類、おやつに食べた果物などが、食後にどのくらい血糖値を急激に上昇させているのかをグラフで一目で確認できます。
- 血糖値の急上昇(血糖値スパイク)は肝臓に大きな負担をかけやすく、脂肪の蓄積につながることがあります。
- リブレを使うことで、ご自身の体がどのような食べ物に反応しやすいかを知ることができるのです。
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食事内容や食べるタイミングの見直し
- リブレのデータを見ながら、「この食品を食べると血糖値が上がりやすいな」「食後の軽い運動でこんなに血糖値が下がるんだ」といった具体的な気づきが得られます。
- それによって、「ご飯の量を少し減らしてみよう」「食前に野菜をたくさん食べるようにしよう」など、より効果的な食事や生活習慣の改善策を、ご自身で見つけることができます。
- まるで自分専属の健康アドバイザーがいるかのように、最適な選択ができるようになります。
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モチベーションの維持
- 自分の体の反応が数字やグラフで具体的にわかることで、「頑張りが結果につながっている!」という手ごたえを強く感じやすくなります。
- これが、食生活や運動を継続するモチベーションを高く保つことにつながります。
- 漠然とした不安を解消し、「見える化」されたデータをもとに、前向きに改善に取り組むことができるでしょう。
当クリニックでは、患者さんの負担を減らしながら効果的な治療をサポートするため、リブレを導入しています。
あなたの血糖管理を強力にサポートし、脂肪肝の改善を応援いたします。
専門医によるオーダーメイド治療と継続サポート
「お酒を飲まないのに脂肪肝」という診断は、多くの場合、糖質の摂りすぎや運動不足といった日々の生活習慣と深く関わっています。
そのため、脂肪肝の治療は、一人ひとりのライフスタイルや体の状態に合わせた「オーダーメイド」の計画がとても大切です。
画一的なアドバイスだけでは、なかなか実践が難しいこともあるでしょう。
当クリニックには、糖尿病や甲状腺、内分泌に関する専門医が複数在籍しています。
私たちは、それぞれの医師の専門知識に基づいた診療を提供しています。
脂肪肝は糖尿病や他の生活習慣病と密接な関係があるため、それぞれの専門医が協力しながら、あなたの体の状態を総合的に評価することが可能です。
そして、あなたのライフスタイルや体の状態に合わせて、無理なく続けられる治療計画を一緒に考えていきます。
私たちは、単に「糖質を減らしましょう」と伝えるだけでは終わりません。
あなたの普段の食事内容(パンや麺類、果物の摂取量など)、運動習慣、そしてライフスタイルを丁寧に伺います。
その上で、「朝食のパンを全粒粉に変えてみませんか?」「夕食後の軽いウォーキングから始めてみましょう」といった具体的な食事療法のアドバイスや、効果的な運動習慣のポイントを分かりやすくお伝えします。
あなたの生活に合わせたオーダーメイドの改善策を、一緒に考え、見つけていくのです。
脂肪肝の治療は一度で終わりではありません。
脂肪肝を改善し、その状態を良い形で維持するためには、定期的な診察と生活習慣の継続的な見直しが不可欠です。
当クリニックでは、土日診療や夜間19時までの受付、さらには24時間対応の訪問診療も行っております。
あなたの都合に合わせて無理なく通院し、継続的なサポートを受けられる体制を整えています。
脂肪肝の治療を通じて、漠然とした健康への不安を解消し、前向きに自分の体と向き合えるよう、専門医があなたの健康を長期的に支えます。
再発のリスクを抑え、より健やかな毎日を送るためのお手伝いをさせていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ
「お酒を飲まないのに脂肪肝」と診断され、驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんね。
実は、パンや麺類、果物など、日々の食生活で何気なく摂っている「糖質」の摂りすぎが、肝臓に大きな負担をかけてしまうことがあるのです。
脂肪肝は自覚症状が少ないため放置されがちですが、進行すると肝硬変や肝がんにつながる恐れも。
この記事でご紹介した糖質コントロール食事術や運動習慣、そして腸内環境を整える方法を取り入れ、早めに生活習慣を見直すことが大切です。
自身の体のサインを見逃さず、不安な時は迷わず専門医にご相談くださいね。
見える化ツール「リブレ」などを活用し、あなたに合った最適な改善策を見つけて、健やかな毎日を取り戻しましょう。
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著書紹介:渡邊 智 院長
秋田大学医学部卒業後、横浜労災病院内分泌糖尿病センターや東京女子医科大学病院などで、糖尿病・高血圧・甲状腺疾患を中心とした最先端の診療に従事。 現在は東伏見駅前内科糖尿病クリニックの院長として、高度医療機関で培った知見を地域へ還元している。「糖尿病」と「内分泌」の専門医として、専門的な管理から日常的な不調まで、患者一人ひとりに寄り添ったきめ細やかな診療を行う。
資格・学会
- 日本糖尿病学会糖尿病内科専門医
- 日本内分泌学会内分泌代謝科(内科)専門医
- 日本内科学会 認定内科医


