「外食やコンビニ食が多いから、血圧のための減塩は難しい」と諦めていませんか?
日本人の1日の平均食塩摂取量は男性で10.9gと、高血圧治療で
推奨される6.0g未満を大幅に超えています。この差を埋めるのは困難に思えるかもしれません。
しかし、実はいつものコンビニや外食チェーンでも、メニューの選び方や注文の仕方を少し工夫するだけで、塩分は驚くほど減らせます。「単品選び」から「組み合わせ」へと考え方を変えれば、コンビニは減塩生活の心強い味方になるのです。
この記事では、医師が具体的な組み合わせ例から、牛丼チェーンや定食屋で使える「裏ワザ」注文テクニックまで徹底解説します。外食を楽しみながら無理なく続けられる血圧管理の「新常識」を、ぜひあなたのものにしてください。
「単品選び」から「組み合わせ」へ。コンビニ減塩ランチの新常識
忙しい日の昼食は、お弁当や麺類など単品で済ませがちです。 しかし、高血圧の食事療法では単品ではなく、「組み合わせ」が重要です。
コンビニの商品は塩分が多いと思われがちですが、実は大きな利点があります。 それは、ほとんどの商品に「栄養成分表示」があり、食塩相当量を確認できることです。 これを活用すれば、コンビニは減塩生活の心強い味方になります。
高血圧治療ガイドラインでは、1日の塩分摂取量を6.0g未満にすることを推奨しています。 1食あたりに換算すると、塩分量は2.0g以下が目標となります。 日本人の平均食塩摂取量(男性10.9g、女性9.3g)と比べると、意識的な減塩が不可欠です。 まずはランチから、単品選びを卒業し、栄養バランスを考えた組み合わせを選びましょう。

主食+主菜+副菜で塩分2g以下を実現する黄金の組み合わせ例
コンビニで減塩ランチを成功させるコツは、幕の内弁当のような単品を選ぶことではありません。 おにぎりやパンなどを主食とし、主菜と副菜を自分で組み合わせるのが正解です。 合計の食塩相当量が2.0g以下になるよう、栄養成分表示を必ず確認しましょう。
以下に、誰でも真似しやすい具体的な組み合わせ例を2パターンご紹介します。
【組み合わせ例1:和食中心プラン】
| 役割 | 商品例 | 塩分量の目安 | 医師からのワンポイントアドバイス |
|---|---|---|---|
| 主食 | もち麦入りおにぎり(鮭など) | 約1.0g | 食物繊維が豊富で、食後の血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。 |
| 主菜 | プレーンのサラダチキン(半分) | 約0.6g | 良質なタンパク質源です。血管のしなやかさを保つために重要です。 |
| 副菜 | ほうれん草のごま和え | 約0.5g | カリウムが豊富で、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を助けます。 |
| 合計 | 約2.1g | サラダチキンをプレーンに、お惣菜は汁気を切ることで2.0g以下を目指せます。 |
【組み合わせ例2:洋食中心プラン】
| 役割 | 商品例 | 塩分量の目安 | 医師からのワンポイントアドバイス |
|---|---|---|---|
| 主食 | 全粒粉パンのサンドイッチ(卵・野菜) | 約1.2g | 全粒粉は食物繊維やビタミンが豊富です。具材はハムやベーコンより卵や野菜を選びましょう。 |
| 主菜 | 無糖ヨーグルト | 約0.1g | タンパク質とカルシウムを補給できます。カルシウムは血圧調整に関わるミネラルです。 |
| 副菜 | ミニトマト | 約0.0g | カリウムや抗酸化作用のあるリコピンが手軽に摂れます。 |
| 合計 | 約1.3g | 塩分に余裕がある組み合わせです。物足りなければ、無塩のナッツなどを加えても良いでしょう。 |
パン・おにぎり派が見落としがちなタンパク質・野菜の補い方
パンやおにぎりだけで昼食を済ませると、炭水化物に栄養が偏りがちです。 すると、血圧管理に不可欠なタンパク質や野菜が不足してしまいます。
タンパク質は筋肉だけでなく、血管の細胞を作る材料としても重要です。 また、野菜や果物に含まれるカリウムは、体内の余分な塩分を排出してくれます。 いつものランチに、以下の食品を一つ加える習慣をつけましょう。
【タンパク質を補うおすすめ食品】
- ゆで卵、温泉卵 完全栄養食とも言われ、手軽に良質なタンパク質を補給できます。
- プレーンのサラダチキン 味付けがシンプルなものを選びましょう。一度に食べきらず、半分にする工夫も有効です。
- 豆腐、納豆 植物性タンパク質が豊富です。納豆のタレは塩分が多いため、半分だけ使いましょう。
- 無糖・低脂肪ヨーグルト カルシウムも同時に摂取できます。糖分の摂りすぎは体重増加につながり、血圧に悪影響を及ぼすため無糖を選びましょう。
【野菜・カリウムを補うおすすめ食品】
- カットサラダ、野菜スティック ドレッシングはノンオイルや減塩タイプを選び、かける量は半分以下にしましょう。
- ほうれん草のおひたし、ひじきの煮物 野菜や海藻を手軽に摂れます。ただし、汁には塩分が溶け込んでいるため、できるだけ切ってから食べましょう。
- ミニトマト、きゅうり 洗うだけでそのまま食べられる手軽な野菜です。
- バナナ、キウイなどの果物 カリウムが豊富で、デザート代わりにもなります。ただし糖質も含むため、1日1つ程度が目安です。
どうしても麺類が食べたい日のための「汁なし」メニューと代替案
ラーメンやうどんなどの麺類は、スープに多くの塩分が含まれています。 カップラーメンのスープをすべて飲むと、それだけで5g以上の塩分を摂取することもあります。 これは、1日の目標量に匹敵する量です。
高血圧の方が麺類を選ぶ際は、「汁は飲まない」というルールを徹底しましょう。 スープを半分残すだけでも、1~2gの塩分を減らすことが可能です。 どうしても麺類が食べたい日は、以下のメニューや工夫を試してみてください。
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汁なし麺を選ぶ
- ざるそば、ざるうどん つゆに麺の先を少しだけつけて食べることで、塩分摂取量を自分で調整できます。
- 冷やし中華 タレを全部かけず、半分程度にすると大幅に減塩できます。
- まぜそば、油そば スープがない分、汁ありのラーメンよりは塩分を抑えやすいです。しかし、タレが麺全体に絡むため、食べる量を調整するなどの工夫が必要です。
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パスタを選ぶ際の工夫
- ミートソースやクリームソースよりも、塩分が比較的少ないオイルベースの「ペペロンチー-ノ」などがおすすめです。
温かい汁物が欲しい場合、カップの味噌汁や春雨スープは塩分が多いため避けましょう。 代わりに温かい無糖のお茶を選んだり、お湯を注ぐだけの乾燥わかめなどを活用したりするのも一つの方法です。
血圧を上げにくい飲み物選び。無糖茶と牛乳がおすすめな理由
食事中の飲み物選びも、血圧管理においては非常に重要なポイントです。 特に、健康的と思われがちな野菜ジュースやスポーツドリンクには注意が必要です。 飲みやすくするために、意外と多くの塩分や糖分が含まれている場合があります。
血圧が気になる方におすすめの飲み物は、以下の通りです。
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水、無糖のお茶(緑茶、麦茶など)
- カロリーも糖分も塩分もゼロで、最も安心して飲める選択肢です。水分補給の基本として、常に水やお茶を選ぶ習慣をつけましょう。緑茶に含まれるカテキンという成分には、血圧上昇を抑える効果も期待されています。
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牛乳、低脂肪乳
- 牛乳には、血圧を下げる効果が期待される「カリウム」や「カルシウム」が豊富です。これらのミネラルは、体内のナトリウム排出を促し、血管の過剰な収縮を抑える働きがあります。脂質が気になる方は、低脂肪乳や無脂肪乳を選ぶと良いでしょう。1日にコップ1杯(約200ml)程度を目安にしてください。
甘いジュースや清涼飲料水は、血糖値を急上昇させ、肥満の原因になります。 体重が増加すると、心臓の負担が増え、結果的に血圧を上げてしまう可能性があります。 日々の飲み物を意識的に変えることから、ぜひ始めてみてください。
主要外食チェーンで使える減塩注文テクニック
外食や中食が多いと、ご自身で塩分を調整するのは難しいと感じるかもしれません。 しかし、諦める必要はありません。 実は、メニューの選び方や注文の仕方を少し工夫するだけで、塩分摂取量を大きく減らすことが可能です。
これからご紹介するのは、誰でもすぐに実践できる、主要な外食チェーンで使える「裏ワザ」的な注文テクニックです。 これらのコツを知っておけば、外食を楽しみながら、無理なく血圧管理を続けられます。 高血圧だけでなく、糖尿病や脂質異常症の管理にも役立つ知識ですので、ぜひ参考にしてください。

牛丼チェーンでは「並盛セット」より「ミニ牛皿+ご飯+サラダ」
牛丼チェーンで手軽に食事を済ませる方も多いでしょう。 しかし、一般的な「牛丼並盛」は、ご飯にタレ(つゆ)がしっかりと染み込んでいるため、塩分量を自分で調整することが困難です。 このタレには塩分だけでなく、血糖値を急上昇させやすい糖質も多く含まれています。
そこでおすすめしたいのが、「牛皿」と「ご飯」を別々に注文する方法です。 この方法なら、具材をご飯にのせる際にタレの量を自分で加減できます。 タレをできるだけ切ってからのせるだけで、大幅な減塩・減糖につながります。 特に、塩分と糖質が多い「つゆだく」は避けるようにしましょう。
| 注文例 | 想定される塩分量(目安) | 医師からのアドバイス |
|---|---|---|
| 牛丼並盛+味噌汁+漬物セット | 約 4.5g ~ 5.5g | 1食で1日の目標塩分量(6.0g未満)に迫る量です。特に味噌汁と漬物の塩分は軽視できません。 |
| ミニ牛皿+ご飯+生野菜サラダ | 約 2.0g ~ 2.5g | タレの量を調整し、味噌汁を飲まないことで塩分を半分近くに抑えられます。サラダでカリウムを補給しましょう。 |
セットの味噌汁や漬物も塩分が高いため、代わりに生野菜サラダを選びましょう。 サラダに含まれるカリウムには、体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を助ける働きがあります。 ドレッシングはノンオイルや減塩タイプを選び、かける量は半分以下にしてください。 紅しょうがも塩分が多いため、彩り程度に少量だけ添えるのが賢明です。
定食屋では「揚げ物」より「焼き魚」を選ぶべき明確な理由
定食屋は品数が多く、栄養バランスを整えやすい選択肢ですが、主菜の選び方が重要です。 特に、高血圧や糖尿病の方が注意すべきなのは「揚げ物」です。 揚げ物よりも「焼き魚」を選ぶべき、医学的に明確な理由が2つあります。
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塩分・糖質・酸化した脂質の問題 とんかつや唐揚げなどの揚げ物には、下味や衣に多くの塩分が含まれています。 さらに、ソースや醤油をかけることで、気づかないうちに大量の塩分を摂取してしまいます。 ソース類には塩分だけでなく糖質も多く、衣は糖質そのものであるため、血糖値の観点からも注意が必要です。 また、揚げ油は繰り返し使われることで酸化しやすく、酸化した脂質は動脈硬化を促進する一因となります。
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摂取する脂質の種類が違う 一方、焼き魚、特にサバ、アジ、イワシなどの青魚は、良質な脂質であるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富です。 これらの不飽和脂肪酸には、血液中の中性脂肪を減らし、血管の炎症を抑えて動脈硬化を防ぐ効果が期待されています。 醤油をかける際は、直接魚にかけるのはやめましょう。 小皿に少量とって「つけて食べる」習慣をつけるだけで、塩分摂取量を半分以下に抑えることも可能です。
ファミレスで塩分を抑えるためのドレッシング・ソースの断り方
ファミリーレストランはメニューが豊富ですが、サラダのドレッシングや肉料理のソースが「隠れ塩分」の温床になりがちです。 これらは料理の味を決める重要な要素ですが、塩分量を大きく左右します。 注文時にひとこと伝えるだけで、効果的に減塩できますので、恥ずかしがらずにお願いしてみましょう。
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ドレッシングやソースを「別添え」にしてもらう 「ドレッシング(ソース)は、かけずに別の器でお願いします」 これは実践しやすい方法の一つです。 別添えにしてもらうことで、自分で使う量を調整できます。 全部使わずに半分だけにする、あるいは少しだけつけて食べる、といった工夫が可能です。
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シンプルな味付けをリクエストする 「味付けは塩コショウだけでお願いします」 素材そのものの味を楽しみたい場合や、塩分を極力控えたい場合に有効な方法です。 特に鶏肉や牛肉のグリル料理などで試しやすいでしょう。
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代替品をお願いする 「オリーブオイルとレモン(あれば)をいただけますか」 特にサラダの場合、上質なオリーブオイルと酸味(レモンやお酢)だけでも十分美味しくいただけます。 これらは塩分を含まないため、安心して使えます。
ドレッシングの種類にも注意が必要です。 一般的に、ノンオイルドレッシングはさっぱりしていますが、味を補うために塩分や糖分が高めな傾向があります。 栄養成分表示が確認できる場合は、塩分量をチェックする習慣をつけましょう。
ラーメンのスープを全部飲んだ場合の具体的なリカバリー方法
ラーメンのスープには、1杯で1日の目標塩分量(6g未満)に匹敵する、あるいはそれ以上の塩分が含まれていることが少なくありません。 高血圧の方にとって、スープを飲み干すことは原則として避けるべきです。 しかし、付き合いなどで、つい全部飲んでしまった場合の対処法を知っておくことも大切です。
これはあくまで緊急措置ですが、以下の3つのポイントでリカバリーを図りましょう。
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カリウムを摂取し、塩分の「排出」を促す 体内の余分な塩分(ナトリウム)は、カリウムと一緒に尿として排出されます。 塩分を摂りすぎてしまった後は、カリウムを多く含む食品を意識して食べましょう。 コンビニでも手軽に手に入る、バナナ、キウイフルーツ、無塩のトマトジュース、ほうれん草のおひたしなどがおすすめです。
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水分をこまめに補給し、塩分を「希釈」する 水やお茶(無糖)をいつもより多めに飲み、尿量を増やして塩分の排出を促しましょう。 ただし、一度に大量の水を飲むと心臓に負担がかかるため、コップ1杯程度を数回に分けて、こまめに補給することが大切です。 糖分の多いジュースやスポーツドリンクは避けてください。
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翌日以降の食事で徹底的に「調整」する ラーメンを食べた日の次の食事から、1〜2日間は特に塩分を控えるように調整します。
- 味噌汁やスープなどの汁物は飲まない。
- 漬物、ハム、ソーセージなどの加工食品は避ける。
- 味付けは出汁のうま味、香辛料、お酢やレモンの酸味を活かす。
この方法はあくまで一時的な対策です。 習慣的にスープを飲むことは腎臓にも負担をかけ、血圧管理を著しく困難にします。 「スープは美味しいけれど、残すもの」という意識を持つことが重要です。
「たまの贅沢」を許すための戦略的食事コントロール術
高血圧の治療において、日々の食事管理が基本となるのは言うまでもありません。 しかし、毎日厳格な減塩食を続けるのは、精神的にも大きな負担となります。 「たまには好きなものを思い切り食べたい」と感じるのは、ごく自然な気持ちです。
大切なのは、完全に我慢してストレスを溜め込むことではありません。 無理な我慢は長続きせず、かえって治療の妨げになることもあります。 食事療法を無理なく、そして長く続けるためには、計画的に食事をコントロールし、楽しみと健康管理を両立させる「戦略」が不可欠です。 ここでは、その具体的な方法について、医師の視点から詳しく解説します。

飲み会で締めのラーメンを食べてしまった翌日の食事プラン
飲み会の後など、つい塩分の多い「締めのラーメン」を食べてしまうこともあるでしょう。 そんな時、過度に自分を責めたり、治療を諦めてしまったりする必要はありません。 重要なのは、その後の食事で適切に「リカバリー(調整)」することです。
ラーメンのスープには、1杯で1日の目標塩分量(6.0g未満)を超えるほどの塩分が含まれています。 翌日は、摂りすぎてしまったナトリウム(塩分)を体外へ排出し、体をリセットすることを意識しましょう。
【翌日の食事プラン3つのポイント】
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カリウムを積極的に摂取し、塩分を「排出」する カリウムというミネラルには、体内の余分なナトリウムと結合し、尿として排出を促す働きがあります。塩分を摂りすぎた後は、以下のカリウムが豊富な食品を意識的に食事へ取り入れましょう。
- 野菜: ほうれん草、小松菜、アボカド、きゅうり
- 果物: バナナ、キウイフルーツ、メロン
- その他: わかめなどの海藻類、きのこ類、納豆
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水分を十分に補給し、塩分濃度を「希釈」する 水やお茶(無糖)をこまめに飲むことで尿量が増え、ナトリウムの排出がスムーズになります。ただし、一度に大量の水を飲むと心臓に負担がかかるため、コップ1杯程度を数回に分けて補給することが大切です。糖分の多いジュースやスポーツドリンクは、血糖値や血圧に悪影響を及ぼすため避けましょう。
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翌日1〜2日は徹底的に「減塩」する ラーメンを食べた翌日、できればその次の日も、特に厳しい基準で塩分を調整します。
- 朝食の例: 無糖ヨーグルトとバナナ、味付けなしのオートミール
- 昼食の例: ドレッシングなしのサラダ、プレーンなサラダチキン、醤油をかけない冷奴
- 夕食の例: 昆布や鰹節で出汁を効かせた野菜スープ(減塩醤油を数滴)、蒸し魚
1回の食事で一喜一憂せず、数日単位でバランスをとるという長期的な視点が、治療を継続する上で重要な鍵となります。
我慢の限界を防ぐ「チートデイ」の正しいルールと頻度
食事制限によるストレスが限界に達するのを防ぐために、計画的に食事制限を緩める日、いわゆる「チートデイ」を設けることは、治療のモチベーション維持に有効な場合があります。 しかし、無計画に行うと血圧や血糖値を大きく乱す原因となり、かえって危険です。 チートデイは、必ず以下のルールを守った上で行いましょう。
【チートデイを設ける際の5つのルール】
- 頻度を事前に決める 「週に1回だけ」「2週間に1回の土曜日の昼だけ」など、あらかじめ頻度を決めましょう。血圧や血糖値が安定していることが大前提です。
- 「1日中」ではなく「1食」に限定する 1日中好きなものを食べ続けるのではなく、「昼食だけ」「夕食だけ」など1食に限定するのが現実的かつ安全な方法です。
- 本当に食べたいものに絞る やみくもに食べるのではなく、「食べたかったラーメンをスープは残して食べる」「とんかつ定食のご飯は半分にする」など、内容を具体的に決め、メリハリをつけましょう。
- 前後の食事で調整する チートデイを設ける日の他の食事や、その前後の日は、特に塩分や糖質を控えるなど、計画的な調整を意識します。
- 罪悪感を持たない ルールを守った上でのチートデイは、治療を長く続けるための大切な工夫です。楽しんだ後は、気持ちを切り替えてまた食事療法に戻りましょう。
【医師からの注意点】 血圧のコントロールがまだ不安定な方、糖尿病の治療中で血糖値の変動が大きい方、医師から特に厳しい食事指導を受けている方は、自己判断でチートデイを設けるのは危険です。 ご自身の状態に合わせて安全に行うためにも、必ず事前に主治医や管理栄養士に相談してください。
塩分だけでなく脂質と糖質も管理する総合的な食事改善
高血圧の食事療法では塩分管理が最優先されますが、将来の心筋梗塞や脳卒中といった深刻な血管の病気を防ぐためには、脂質と糖質の管理も同時に行うことが極めて重要です。 特に糖尿病をお持ちの方やそのリスクがある方にとって、これらの総合的な管理は必須と言えます。
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脂質の管理がなぜ重要か? 肉の脂身やバターなどに多い「飽和脂肪酸」や、マーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」の摂りすぎは、悪玉(LDL)コレステロールを増やし、動脈硬化を進行させます。 高血圧によって常に高い圧力がかかっている血管の内壁に、コレステロールの塊(プラーク)が付着すると、血管は硬く、もろくなります。 その結果、血管が詰まったり(心筋梗塞、脳梗塞)、破れたり(脳出血)するリスクが格段に高まります。
- 対策: 揚げ物を控え、蒸す・焼く・茹でる調理法を選ぶ。肉の脂身は取り除く。サバやイワシなどの青魚に含まれる良質な油(EPA、DHA)を積極的に摂る。
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糖質の管理がなぜ重要か? 糖質の摂りすぎは、肥満や糖尿病の主な原因です。肥満自体が高血圧のリスクを高めます。 また、高血糖の状態が続くと、血管の内側の壁が傷つき、動脈硬化が促進されることがわかっています。 塩分、脂質、糖質は三位一体で血管にダメージを与えるため、総合的な管理が不可欠です。
- 対策: 甘いお菓子やジュース類を控える。白米を玄米やもち麦ごはんに置き換える。野菜やきのこ、海藻など食物繊維の多いものから先に食べる「ベジファースト」を実践し、血糖値の急上昇を抑える。
塩分、脂質、糖質をトータルで管理することで、血圧だけでなく、血管そのものを若々しく健康に保つことができます。
外食時に使える減塩醤油や減塩スプレーを持参する工夫
外食は塩分が多くなりがちですが、少しの工夫で塩分量をコントロールできます。 その一つが、携帯用の減塩調味料を持参する「マイ調味料」の習慣です。 お店の調味料を使わずに済むため、確実な減塩につながります。
【おすすめのマイ調味料と活用法】
| アイテム | おすすめの活用シーン | メリットと使い方 |
|---|---|---|
| 減塩醤油 (携帯ボトル) |
寿司、刺身、冷奴、焼き魚 | 一般的な醤油より塩分を約50%カットできます。直接かけず、小皿にとって「つける」量を調整しましょう。 |
| 醤油スプレー | サラダ、おひたし、目玉焼き | 霧状に噴射するため、ごく少量で全体に風味を行き渡らせることができます。かけすぎ防止に非常に有効です。 |
| レモン果汁、酢 | 揚げ物、サラダ、焼き魚、鶏肉のグリル | 塩味の代わりに酸味で味のアクセントをつけます。ドレッシングやソースの代わりとしても活用できます。 |
| 香辛料 (七味、コショウなど) |
丼もの、麺類、炒め物 | 香りや辛味で味の物足りなさを補い、満足感を高めます。塩分ゼロで風味を加えられるのが利点です。 |
これらのマイ調味料は、100円ショップなどで手に入る小さな容器に入れて持ち運ぶと便利です。 周りの目が気になるかもしれませんが、ご自身の健康を守るための大切な工夫です。 まずは自宅で減塩調味料を試し、好みに合うものを見つけることから始めてはいかがでしょうか。 このような小さな努力の積み重ねが、長期的な血圧コントロール成功の秘訣です。
まとめ
今回は、外食が多くても血圧を上手にコントロールするための、具体的なメニュー選びと食べ方のコツをご紹介しました。
大切なのは「あれもこれも我慢する」ことではなく、「賢く選ぶ」という視点を持つことです。コンビニでは単品ではなく主食・主菜・副菜を組み合わせること、外食チェーンではタレやソースを別にしてもらうこと。こうした小さな工夫が、確実な減塩につながります。
完璧を目指す必要はありません。もし塩分を摂りすぎてしまっても、翌日の食事で調整すれば大丈夫です。まずは明日のお昼から、この記事で紹介したテクニックを一つでも試してみませんか。外食を楽しみながら、無理なく健康な毎日を送りましょう。
著書紹介:渡邊 智 院長
秋田大学医学部卒業後、横浜労災病院内分泌糖尿病センターや東京女子医科大学病院などで、糖尿病・高血圧・甲状腺疾患を中心とした最先端の診療に従事。 現在は東伏見駅前内科糖尿病クリニックの院長として、高度医療機関で培った知見を地域へ還元している。「糖尿病」と「内分泌」の専門医として、専門的な管理から日常的な不調まで、患者一人ひとりに寄り添ったきめ細やかな診療を行う。
資格・学会
- 日本糖尿病学会糖尿病内科専門医
- 日本内分泌学会内分泌代謝科(内科)専門医
- 日本内科学会 認定内科医


